我々脳神経外科医は手術をします。手術はリスクを伴います。
リスクは患者さんが負います。我々はどう頑張っても患者さんと一緒にリスクを負うことはできません。
手術が予定通りに進まず、合併症を起こしてしまった方というのは強烈に覚えています。
避けられた合併症か避けられなかった合併症かはさておき、原因は必ずあるはずです。手術動画も何度も見直し、考えて考えて、さらに考えます。
それでも原因がわからないことも多いです。
ふとした瞬間に思い出して自己嫌悪に陥ります。夢にうなされることもあります。
逆に何の合併症もなく手術が終わった場合、手術内容はあまり記憶に残っていません。
「患者さんは常に全力で来るのだから、我々医師も全力を尽くさなければならない」
これは建前です。医師も人間です。
(多忙の時、手技に慢心している時、家族に心配事がある時、恋人に振られた時など)
・術前の脳内でのシミュレーションをしない
・画像の検討がおろそか
・手術前日に深酒をする
・手術中の一つ一つの手技から繊細さが欠ける
・etc., etc.
いろいろなことが起こりえます。
それでも手術はうまくいくことがほとんどです。
「だから俺は前日に酒を多量に飲んでも大丈夫だ」とはせず、反省しなければいけません。
謙虚でいないと、また自己嫌悪に陥ったときに立ち上がれなくなります。
外科医(下界)もなかなか厳しい世界です。
立ち上がれなくなったらどうするか??
起こしてもらうんですよ。患者さんの感謝の言葉によって。
起こしてもらったらどうするか??
きまってるだろ、患者さんに倍返しだ!!!