外来での徒然

タクシー運転手

車で1時間程度かかる田舎から毎回やってくるサカイさん。60代のモヤモヤ病の方です。

バイパスをする予定であったものの、ちょうど乳がん転移が見つかり化学療法優先にして、手術は今はしないと決めていらっしゃいます。

化学療法の影響か手足の痺れがあり、最近自家用車をやめてタクシーにすることにしたそうです。

外来に入ってくるなり、

「ちょっと先生、ほんとあぶないんよ、先生に言おう言おうと思って。忘れんうちに外来これてほんとよかったわ」と言い出しました

「ちょっとどうしたの」と聞くと

サカイさん「タクシー運転手って高齢者ばっか。私の運転より危なっかしくて、もう寿命が縮んだわ」

とタクシーの運転に関して身振り手振りで教えてくれました。

脳神経外科の外来では、高次脳機能障害や体が不自由な方が多いので車をあきらめてタクシー等の利用を勧めることも多いです。タクシー運転手の年齢を80歳まで上げることも議論される昨今、タクシーの危険性、事故率等も鑑みて外来をしないといけないなぁと考えさせられました。

**それから一か月後の外来

サカイさん「先生、こないだ久しぶりに運転したんよ、車の。ほんとにちょっとした近場までなんだけど。」

わたし「そうですか、自分での運転はどうでした?」

サカイさん「うん、やっぱり自分の運転はあぶないわ。しびれてるからアクセルの加減わからんのよ、運転はプロに任せたほうがええわ。」

ちょっとだけ安心した自分がいました。