外来での徒然

物忘れと不注意の狭間

慢性硬膜下血腫という疾病があります。外傷によって頭蓋骨と脳の間に血がたまります。

血がいっぱいたまると血が脳を圧迫します。小さな穴を頭蓋骨に開けて血を吸いだす手術を行います。基本的に手術後症状は消失します。

今回は慢性硬膜下血腫に対して手術をした70代の男性カズマさんのお話です。
カズマさんはそれまで全く病院にかかったことがなく、高血圧、高脂血症などもあったため定期的に通っています。

わたし「最近調子はどうですか?」

カズマさん「最近は全く転んでない。大丈夫。」

わたし「それはよかったです。手術前にあった物忘れとかも大丈夫ですか?」

カズマさん「ボケ症状も全くなくなったし、忘れることもない。」

わたし「それはよかったですね、では薬処方しておきますね」

カズマさん「先生、くすり飲みわすれていっぱい余ってるから今回は少なめでいいわ。」

わたし「・・・・・・・え?」

カズマさん「・・・・・・え? えへへ。」

ちょっとした漫才になってしまった外来でした。
そして、次は外来日を1週間間違えて来院してくるのでした。