外来での徒然

遺伝でいいですよね?

病院の外来には様々な人が来ます。

手術後の方もいます。手術後創部の違和感はある程度の期間続きます。そのほかに鈍痛が続く人もいます。高血圧など一般的な病気が入院中に指摘され降圧剤などが開始されることも多いです。

〇今日の外来 セナさん

セナさん。とてもかわいらしい子供が5人いるお母さんです。
モヤモヤ病でバイパス術をしました。時々子供を連れて外来にやってきます。
モヤモヤ病は「RNF213」という遺伝子の遺伝子多型と関連性があるといわれています。

手術後からは、手の力が抜ける、などの虚血の症状は消失しました。
しかし高血圧もありそうです。

私「血圧高めだし、血圧手帳渡すから、書いて次回持ってきてね」

セナさん「先生、前回も血圧手帳もらいましたよ(笑)」

私「あ、そうですね。では血圧手帳みせてください」

セナさん「………書いてないです」

私「家に血圧計あるっていってましたよね、時々測ってますか」

セナさん「時々測ろうとはしています」

私「………そうですか、血圧手帳記入して次回持ってきてほしいです」

セナさん「はーい。で、先生ちょっと質問なんですけどいいですか」

私「なんですか」

セナさん「血圧高いのも遺伝でいいですよね?」

私「ダメです。入院中全く血圧高くなかったじゃないですか。遺伝か環境要因かはわかりません。でも環境要因も強いはずです。なんでも遺伝にしてはだめです。食事に気を付けたりしましょう」

セナさん「あーぁ、えーーーー。気を付けます」

 他の疾患が二次的に高血圧を引き起こすということは時々あります。もやもや病の場合は脳だけでなく他の血管も異常があることもあります。腎動脈狭窄があってそこから高血圧をおこすこともあります(それほど頻度は高くありませんが)。
 高血圧は動脈硬化を進行させるといわれており、特にもやもや病の方は気を付けたほうがよいです。放置はだめです。
 生活習慣によるものを遺伝のせいにしてあきらめるのもダメです(笑)。