医師、特に若い医師は数年ごとに病院が変わります。
理由はいくつかあります。
上司の得意とする分野が変わります。また病院の規模や特殊性が変わります。
それによって、出会う疾患の層が変わります。
結果的にいくつもの病院を回ることにより満遍なく脳神経外科領域を学ぶことができます。
中堅になっても3-5年でだいたい転勤します。
ある程度の技術があって、若い医師を教えることを厭わない人というのはそれなりに少ないのです。
近年、若い医師は増えてきていると実感しています。ただ若い医師にしっかり教えようという中堅は逆に足りなくなっている気がします。
医師数の増加や働き方改革の影響もあるのでしょうか。
(時代と言われればそれまでですが、19時から22時くらいまで週3回ほどつきっきりでMRI/CT画像を一緒に見て、教えていただいた時代もありました。私はそこまで後輩にしたことはありませんし求められたこともありません。)
最近はインターネットなどできれいな手術ビデオをいくらでも見られる時代になってきています。教科書もすごくわかりやすくなっています。うまくなる人はちょっとのアドバイスでどんどんうまくなっていきます。
ただ、素晴らしくきれいなビデオを見たとしても、それぞれの手術での落とし穴はわからないことも多いわけで。
手術では自分がリカバリーできる範囲で若い医師に好き勝手させるというのが中堅の仕事です。
私はぎりぎりリカバリーできる1歩手前というところまでしか怖くてさせられません。また最初の1,2手でダメだ、まだ見学したほうがいいと思えばすぐに変わります。
若い先生が執刀、私が助手をしている際、手術がすごくうまくいっても、汗びっしょりで終わるということもあります。すり減ります、髪の毛も抜けます(笑)
患者さん側からすれば初めから完璧にできる人にやってもらいたいと思うかもしれません。ただ外科医というのはそうやって成長していくものだと思っています。そして成長した外科医が未来の患者さんを救っていくのだと思います。
そしてだれでも未来の患者さんになる可能性があるんです
髪の毛と未来の患者さんとどっちが大事なんだって???
どっちも大事に決まってんだろ!!! 倍返しだ!!