外来での徒然

ほんとうですか、それ

脳神経外科の外来には様々な人が来ます。
脳の病気を指摘されたり実際に罹ったりすると、たいていの方は自分を見つめなおします。

生活を改めたり、突然悟ったようなことを言い出したり(配偶者談)、考え方が大きく変わることもあります(疾病による性格変化とかではなく、です)。

 脳動脈瘤というものがあります。脳の動脈の一部分がコブのように膨らんでいることを指します。これが破裂するとくも膜下という場所に出血します。
 くも膜下出血は、大体3人に1人は亡くなります。また社会復帰できるまで回復する方も3人に1人です。
 破裂率は場所、大きさ、形などで大体わかっており、手術リスクのほうが高い場合は通常経過観察します。経過で大きくなったり形が変わったりした場合は手術が検討されます。

 今回は脳動脈瘤に対し治療したのち、画像フォローをしている70代タロウさんのお話です

外来での徒然

再発や新たな動脈瘤はありませんでした。画像の説明をしたあとのことです。

タロウさん「徒然先生、このMRIってのは認知症もわかるんか?脳の萎縮もわかるんか?」

わたし「うーんある程度は委縮はわかります。だけど個人差もあるから口頭での質問形式の検査をうけないと認知症かどうかはわからないことが多いですよ。大丈夫だと思いますけど、検査受けてみますか?」

タロウさん「いや、いいわ。でもな先生、認知症が始まっている気がする。」

わたし「なんか思い当たることでもあるんですか?誰か家族とか周囲の人に指摘されたんですか?」

タロウさん「全くいわれてない。でもな先生、おれ認知症始まってるよ。おれはな、恋でもなんでも、始まりはわかるんよ。」

認知症の始まりが個人でわかる、その感覚を言語化できれば医療分野には大きなプラスになる気がします。何度かどうしてそう思うか聞きましたが、感覚的なものとのことで、私にはタロウさんが感じた違和感というのを感じることはできませんでした。

タロウさんの感覚が当たってないことを祈ります(笑)


結婚をして、子供も生まれてからのライフステージで
”新たな始まり”といったら体の衰え、認知症、体調不良など老化によるものでしょうか。
ポジティブな”新たな始まり”は自分で作っていかないといけないのかもしれません。
認知症も都合の悪いことを忘れるという面ではポジティブなのかもしれませんが・・・

ちなみにポジティブで有名なガーベラの花言葉は【常に前進、希望】です。

頑張って’新たな始まり’をどんどん作っていこう!!