外来での徒然

若い人のわがまま

病院の外来には様々な人が来ます。

脳神経外科の外来にも様々な人が来ます。治療がある程度落ち着いて元気に通っている人もいれば、定期的な画像のフォローで戦々恐々としながら結果を聞きに来る人もいます。すごくおっかなびっくり紹介状を持ってきて、あと何年生きられますかって聞いてくる人もいます。

厳しい結果を伝えないといけないときも多いですが、なるべく一笑いはしてもらって元気になってもらおうという姿勢で取り組んでいます。が逆に笑いを取ってくる人もいます。

〇外来での徒然

コニさん。いわゆる田舎の過疎地に住んでいます。
毎回1時間以上娘に運転させて外来に通ってきます。
脳梗塞になって、精査で頸動脈狭窄を認めた方です。
ステントで頸動脈の狭窄を広げた後、経過フォローでの通院です。


頸動脈狭窄に対してステントを入れて広げた場合、MRIやエコーで経過を見ます。
新しい脳梗塞がなかったり、再度の狭窄を認めなければ、最終的には1年に1回程度の画像フォローとなることも多いです。

 

コニさんはいつもおもしろい世間話をしてくれます。

コニさんの家の前は通学路になっているのか、朝夕と小学生があいさつしながら小学校へ向かっていきます。中には挨拶をしない小学生もいるようです。

挨拶をしない小学生ですが、帰り道に花を摘んでコニさんに「ん」と言ってくれることがあるそうです。

コニさんはそんな小学生が大好きなんだと思います。

でもコニさんあるとき気づきました。
その花、隣の隣の家の庭に咲いている花なのではないかと、というか間違いなく隣の隣の家の花なのです。

 

コニさんはその隣の隣の家の人に会いに行きます。田舎なのでもちろん知合いです。そして隣の隣の家の女性にむかってこう言ったそうです。

 「小学生がときどきおたくの花摘んでいくかもしれないけど、それ私のところにくるから絶対に叱ったりしたら駄目よ!!」

わたしが「圧力かけちゃだめだよ」と笑って言うと

コニさんこういいます。

「あのね、私が一番若いんだから少々わがまま言ってもいいのよ、みんな84歳とか85歳とかなのよ。」

ちなみにコニさん82歳です。